【神相全編 秘伝手相奥義】 其の五 川字紋・四直紋・高扶紋・折桂紋・玉桂紋・天喜紋
川字紋(せんじもん)
五指倶生川字紋、人人益壽得延年。
【五指ともに川字紋を生ずれば、人々まして延年をえん。】
男児可比籛鏗老。女子堪如王母仙。
【男児は籛鏗(せんこう)の老に比すべく、女子は王母仙(おうぼせん)の如きに堪えたり。】
川字紋は、上図の如く五指の節の間に全部川の字の如く、縦に筋が現れたるものをいう。
この紋の現れたる者は、男でも女でも延年長寿の相であり、古来稀な長生きをするというのである。普通でも百歳の寿を保つと言われ、その上一代を無病で暮らし、健康を享受する。又、運気も強く、衣食住に不自由なく、一生安楽であり、幸福に送るという相である。
四直紋(しちょくもん)
四直可名求。中年不用愁。
【四直は名を求むべし。中年に愁(うれ)いをもちいず。】
更宜紅潤色。一旦便封矦。
【さらに紅潤色(こうじゅんしょく)あるによろし。いったんはすなわち矦(こう)に封ぜらる。】
四直紋は、上図の如く天(感情線)地(生命線)人(頭脳線)三才紋の代わりに、縦に四本の筋が起こっているものをいう。
この紋のある者は功名心が強く、刻苦骨を惜しまずという奮闘家である。遂には大成をなし高名を博するという。
然し、苦もあり愁いもあるが自己の修養の結果はその労苦を超越して、中年には労苦に負けぬ精神となる。もし、掌中に紅の色を発し潤いのあるものは、更に運気もよく立身出世をし、中には破格の成功なして候(大臣大官)に昇ることが出来るという相である。
高扶紋(こうふもん)
高扶紋出無名指、膽氣高強難並比。
【高扶紋無名指(むめいし)に出づれば、胆気高強にして並べ比しがたし。】
手紅色潤是多能。自是一生招富貴。
【手紅色にして潤いあらば是れ多能なり。自ら是れ一生富貴を招く。】
高扶紋は、掌の乾宮(十二宮)のところから起こって斜めに指の元に向かって三才紋の代わりに立っているものをいう。
此の紋のある者は、精神は非常に豪胆であって人に優れている。乱世にあっては武勇を顕し、治世にあっては徳を敷き、上の引き立てがあって立身し高名となる。
若し、掌が紅色で潤いがあれば、才知技能に秀でて多能である。自然何をしても才能が役立って成功し、財産は出来、人から尊敬を受けるという相である。
折桂紋(せきけいもん)
折桂紋名有大才。儒人及第擢高魁。
【折桂紋と名づけて大才あり。儒人に及第して高魁(こうかい)をぬきんず。】
姮娥月裡頻相約、一日登雲挙桂来。
【姮娥(こうが)月裡(げつり)にしきりに相約して、一日雲に登って桂をよじきたる。】
折桂紋は、掌中に縦に四本の筋が立ち横にその筋を縫って兌宮(だきゅう)(十二宮)へ抜けているものをいう。
この紋のある者は、博学多才であって、徳高き学者となり世の難問題を毎々(ことごと)に成し遂げて人の敬意を受けいつか師となり頭となる。
又、身分ある女を妻として、清き内助の功を受け立身出世に拍車をかけ、その才能を現す機会を捉えては率先立って成就の高名を揚げる事は間違いないという。役人となれば時艱(じかん)をよく処理し大臣宰相に至る相である。
玉桂紋(ぎょくけいもん)
玉桂紋從掌直立。爲人膽智必聰明。
【玉桂紋は掌より直ちに立つ。人となり胆知にして必ず聡明なり。】
學堂更得紋光顯。一定中年作相公。
【学堂さらに紋を得れば光あきらかなり。一定(いちじょう)中年に相公(しょうこう)となる。】
玉桂紋は、坎宮(かんきゅう)(十二宮)に起こり掌中を真っ直ぐに立って中指の先に至るものをいう。
この紋は、富貴卑賤の別なく、生まれながらに豪胆であり、頭脳明晰である。その豪胆と知力とに努力が実を結んで遂には群を抜いて、大業を成し遂げ、天下に高名を揚げる。昔太閤秀吉がこの筋を持ち後世天下に号令した所からこれを天下紋ともいう。若し、母指(親指)の下に菊花紋(きっかもん)が共に現れる者は、晩年には必ず公卿に列し大臣となり又宰相に至るという相である。
天喜紋(てんきもん)
立身帶王喜。一生多福祉。
【立身して天喜を帯(お)ぶ。一生福祉多し。】
榮旺樂人安。事事皆全義。
【栄旺(えいおう)にして楽しんで人やすし。ことごとに皆全義なり。】
天喜紋は、玉桂紋と同じく坎宮から起こって掌中を真っ直ぐに、中指の根元まで強く現れたるものをいう。
この紋のある者は、立身出世早くよく家を興す。一生福運に恵まれ財産を作り、家運は隆昌で少しの不安もおこらず常に安楽に暮らす。何事を始めても皆都合よく達成して身も又健康長寿を享受する。
この相もまた天下紋といって、官に入っては重臣となり大官に至るという相である。