【老子道徳経 第二十二章】 曲がりくねった道を行く
【今日のこよみ】 旧暦2013年12月29日仏滅 五黄土星
庚子 日/丙寅 月/甲午 年 月相 28
大寒 次候 水沢腹堅(さわみずこおりつめる)
長い間更新をさぼっていたけど復活。おおっ、今週の土曜日が旧暦の正月なんですね。いいタイミングで復活したみたいです。
曲則全、枉則直、窪則盈、敝則新。
少則得、多則惑。
是以聖人抱一、爲天下式。
不自見故明、不自是故彰。
不自伐故有功、不自矜故長。
夫唯不爭、故天下莫能與之爭。
古之所謂曲則全者、豈虚言哉。誠全而歸之。
【書き下し文】
曲(きょく)なれば即ち全(まった)し、枉(ま)がれば即ち直(なお)し、窪(くぼ)めば即ち盈(み)ち、敝(やぶ)るれば即ち新たなり。
少なければ即ち得られ、多なれば即ち惑う。ここを以(も)って聖人は一(いつ)を抱きて、天下の式(の)と為る。
自ら見(あらわ)さず故(ゆえ)に明らか、自ら是(よし)とせず故に彰(あら)わる。
自ら伐(ほこ)らず故に功あり、自ら矜(ほこ)らず故に長(ひさ)し。
それ唯(た)だ争わず、故に天下も能(よ)くこれと争う莫(な)し。
古(いにし)えの謂(い)わゆる曲なれば即ち全しとは、豈(あ)に虚言(きょげん)ならんや。
誠(まこと)に全くしてこれを帰す。
【私的解釈】
人生が遠回りで曲がりくねっているからこそ、その道のりを味わい尽くすことができ、曲がればそれを修正する体験を積め、落ち込むことで色々な感情が満ちあふれ、破れてしまえば気分一新して再スタートができる。
持つモノが少ないから得るモノが多く、持つモノが多ければ心が惑わされることが多い。だからこそ、聖人は「おもゐ」をひとつ持つだけで世の中に模範を示している。
自己顕示をしないから返って世の中に知れ渡り、自ら誇示をしないから返って世の中に認められる。
自ら自惚れないから立派な仕事を成し遂げ、驕ることがないから長きに渡って世の中から賞賛される。
誰とも争わないから、世の中から叩かれることもない。
昔から伝わる「紆余曲折があるからこそ人生を楽しみ尽くせる」という言葉は嘘などではない。
人生を必死に生きるからこそ、このように実感することが出来るのだ。
【雑感】
【名言誕生】明石家さんまが「必死」を語る。 - YouTube
「生きることに必死」
この言葉が明石家さんまの座右の銘だそう。必死とは「必ず死ぬ」と書く。この熟語へのおもゐをこの動画で語っている。
必死という言葉を口に出し、「必死とは必ず死ぬと書く」と唱えると、否応なしに死を意識する。
死を意識すると、今さらながら人生が無限に続くものではないことを思い知る。
となると生きている今の刹那刹那の愛おしさを感じざるを得ない。