まどゐ。

~ おもゐを嗣ぎ、おもゐを纏ひ、おもゐを遣る ~ 

【老子道徳経 第七十三章】 悪の退治は天にまかせる

 

勇於敢則殺、勇於不敢則活。

 

此兩者、或利或害。天之所惡、孰知其故。

 

天之道、不爭而善勝、不言而善應、不召而自來、繟然而善謀。

 

天網恢恢、疏而不失。

 

 

 

【書き下し文】

 

敢えてするに勇なれば則(すなわ)ち殺され、敢えてせざるに勇なれば則ち活かさる。

 

この両者、或(ある)いは利あり、或いは害あり。天の悪(にくむ)む所、孰(たれ)かその故を知らん。

 

天の道は、争わずして善く勝ち、言わずして善く応じ、召さずして自ら来たし、繟然(せんぜん)として善く謀る。

 

天網(てんもう)恢恢(かいかい)、疏(そ)にして失せず。

 

 

 

 

【私的解釈】

 

勇気を持って立ち上がった者が殺され、勇気を持って静観していた者が生かされることがある。

 

この両者の行為は、人の考え方次第で、世の中の為になったり、あるいは世の中に害をもたらしたりと、評価が分かれるものだ。天がどちらの行為に天罰を下すかなど、人間である私たちには、分かりやしない。

 

天の道とは、争わないでも勝手に勝利を手にし、こちらから命令しなくても快く動き、呼び出さなくても自主的にやって来、悠然としていても自ずと目的が達成されるものである。

 

ただし、天が悪人を捕まえる網は、粗い網の目をしているように見えても、決して悪人を取り逃すことはないのである。

 

 

 

【雑感】

 

有名な故事成語「天網恢恢、疎にして漏らさず」の章である。

 

たまたま今から書き連ねる事象にふさわしい章にあたった。

 

これも天の采配だろう。

 

 

さて、いきなり、印象操作バリバリの記事である。

 

ベトナム “漁船も妨害” 国民の不満高まる

5月10日 12時09分

南シナ海で起きた中国とベトナムの当局の船どうしの衝突について、ベトナムの国営テレビは衝突現場の近くで操業していたベトナムの漁船も中国の船から妨害を受けていると報じ、ベトナム国民の間で中国に対する不満が高まっています。

中国とベトナム領有権を争っている南シナ海西沙諸島周辺の海域では、今月、中国の国有石油会社が海底の掘削作業を進めようとしたのを発端に、両国の当局の船どうしが複数回にわたって衝突し、双方のにらみ合いが続いています。

ベトナム政府によりますと、9日も漁業資源監視部隊の船が中国側の船に衝突されたり放水されたりして3人がけがをしました。
10日朝のベトナムの国営テレビは、衝突した現場の近くで操業していたベトナムの漁船も中国の船から妨害を受けていると伝えていて、「中国の船がぶつかってきて通信機器が機能しなくなった」などとする船長のインタビューを放送しています。

一連の中国の行動を受けて、インターネット上では11日に中国大使館の前などで抗議デモを行うことが呼びかけられており、ベトナム国民の間で中国に対する不満が高まっています。

ベトナム “漁船も妨害” 国民の不満高まる NHKニュース

 

この「ベトナム”漁船も妨害”国民の不満高まる」って見出しに当事者の中国の文字が一切出てこない。記事を読めば、中国海警の船がベトナム漁船を妨害しており、ベトナムの人達の不満が高まっているという内容なんだけど、見出しからはこの内容を読み取ることが出来ない。

 

どう考えてもこの見出しは、「中国”漁船も妨害”ベトナム国民の不満高まる」でしょ。NHKって中国の検閲対象になっているのかしら、ホント!

 

 

ここから、本題。

なぜ、ベトナムと中国は争っているのだろうか?

 

まず、この地図を見て下さい。

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何故かマスコミ、特にNHKは、この地図を使って、今回の紛争の背景を説明していないようです。

 

素人目から見ると、中国以外の国の領域の主張は、まぁ常識の範囲内だけれども、中国が主張する赤線の領域はもう目茶苦茶な主張に思えてならない。

 

防衛省のサイトが中国のこの赤い線について解説している。

<解説>中国による南シナ海における海洋活動の活発化について

 

南シナ海においては、中国や東南アジア諸国の間で島や礁の領有権などに関する主張の対立があり、当事者間でこれまで秩序形成や問題解決などに関する法的拘束力のある合意は得られていない。

 

中国は、92(平成4)年には南沙諸島(Spratly islands)および西沙諸島(Paracel islands)などが中国の領土である旨明記された「領海および接続水域法」を制定したほか、南シナ海における自国の「主権、主権的権利および管轄権」が及ぶと主張する範囲に言及した09(同21)年の国連宛口上書にいわゆる「九段線」の地図を添付した。また、12(同24)年には、南沙および西沙諸島などを管轄するとされる三沙市を設置するなど、領有を前提として国内法上の措置を進めている。

 

この「九段線」については、国際法上の根拠が曖昧であるとの指摘があり、南シナ海における南沙および西沙諸島領有権などをめぐる東南アジア諸国との主張の対立を生んでいる。 

 

実際に中国は、以下のような動きを見せ、南シナ海への進出を徐々に進めてきたと指摘される。

 

<1> 73(昭和48)年に米軍が旧南ベトナムから撤退した後、74(同49)年に旧南ベトナムとの軍事衝突を経て、 西沙諸島を事実上支配 


<2> 80年代に旧ソ連ベトナムに対する軍事支援およびプレゼンスが低下する中、88(同63)年にベトナムとの軍事衝突を経て、南沙諸島の一部の岩礁を事実上支配

 
<3> 92(平成4)年に米軍がフィリピンから撤退した後、95(同7)年に南沙諸島ミスチーフ礁事実上支配

 

また、中国が領有権を主張する島や礁を事実上支配する際には、周辺海域における公船派遣を進めつつ、力の行使によって岩礁の占拠および施設の構築を行ったと指摘されている。

防衛省・自衛隊:<解説>中国による南シナ海における海洋活動の活発化について

 

これによると、九段線による領域の主張をしながら事実上支配、つまり実効支配で領域を拡大しているようだ。

 

日本の竹島を韓国が不法に実効支配したようなやり方で、次から次へと領域を拡大しているようである。

 

今回の衝突地点は下の掘削現場から西よりの地点。

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上の地図から明らかに今回の掘削現場(■)と衝突地点はベトナム排他的経済水域内である。

排他的経済水域(はいたてきけいざいすいいき、Exclusive Economic Zone; 略称EEZZone économique exclusive, ZEEAusschließliche Wirtschaftszone, AWZ)とは、国連海洋法条約に基づいて設定される経済的な主権がおよぶ水域のことを指す。

 

沿岸国は国連海洋法条約に基づいた国内法を制定することで自国の基線 (海)から200海里(約370km<1海里=1,852m>)の範囲内の水産資源および鉱物資源などの非生物資源の探査と開発に関する権利を得られる。その代わりに、資源の管理や海洋汚染防止の義務を負う。

 

排他的経済水域設定の経緯[編集]

海洋は自由航行の認められた公海と、沿岸国の主権がおよぶ領海(外国船舶は無害通航権を行使すれば領海内でも航行できるが、沿岸国が設定する無害通航に関する法令の遵守を求められる)とに分けられる。領海について国によって様々な距離が主張された。多くは3海里ないし12海里であったが、中には200海里まで自国の領海であると主張する国が現れてきた。沿岸国に領海を認めることは慣習的に国際法として定着していたが、その距離については長年決着を見なかった。そこで国連が中心になり、沿岸国の権利と自由通航の確保を両立させるための条約制定会議が行われ、その結果定められたのが国連海洋法条約である。

 

1960年代に確立した漁業水域が拡大強化され、1982年の国際海洋法条約第5部で排他的経済水域制度は条文として確立した[1]

 

つまり、排他的経済水域とは、沿岸国の権利と自由通航の確保という矛盾する要請を同時に満足させるための方策として考え出されたものである。200海里もの広範な領海を設定していた国の主張を経済的主権に限定して認める代わり、自由航行のできる水域を確保したのである。

 

排他的経済水域において全ての国は、以下のことを行うことができる。

  • 航行
  • 上空飛行
  • 海底電線・海底パイプラインの敷設

同条約によって領海から12海里以内の排他的経済水域内を接続水域として、必要な法規制・通関の取締りを行うことが認められている。日本では排他的経済水域及び大陸棚に関する法律により排他的経済水域大陸棚、これに関する活動を規定している。

 

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排他的経済水域は沿岸国の主権が及ぶ水域とある。となれば、何故そんな現場で中国は堂々と掘削作業が出来るのであろうか?

 

ちなみに日本の排他的経済水域内に他国の海洋調査船等が入り込んだらどう対処しているのだろうか?

◇外国海洋調査船関係

 

我が国周辺では、海洋開発に対する各国の関心の高まり等を背景として、外国による海洋調査活動が確認されており、特に、中国は、東シナ海等において、調査活動を頻繁に行っている。

 

我が国は、排他的経済水域等において、外国が海洋調査等を行うことは我が国の同意がない限り認めないこととしているが、11年は、同海域における我が国の同意のない中国海洋調査船の調査活動について、過去最高となる延べ30隻を確認している。


これらについては、規制する国内法がないこと等から、強制的な措置をとることができないが、現場海域において、中止要求等を行うとともに、関係省庁にも通報する等により対処していくこととしている。

領海警備等の強化-海上保安庁 

 

日本の現状も危ういですね。

規制する国内法がないこと等から、強制的な措置をとることができないが、現場海域において、中止要求等を行う

って、もし中国が武力を傘に中止要求を無視したら、ベトナムで起こっていることが日本でも起こり得るってことですよね。

 

 

中国が無茶苦茶に思えるようなことが出来る根拠は、「九段線」のようである。

この記事が「九段線」を解説している。

【北京】満州人が中国を支配していたとき、そこは南海と命名された。漁師の避難場所となった小島や環礁、礁湖が点在する海域だ。

 

今日の地図で南シナ海と呼ばれる海は、国際水路機関(IHO)が1953年に刊行した「大洋と海の境界」で英語の名称が付けられ、位置が定められた。それは世界経済にとって決定的に重要な意味を持っている。

 

世界の海上貿易の半分以上がこの海を通って行われる。急成長を遂げているアジア太平洋諸国と欧州や中東、アフリカの市場を結びつけるルートで、膨大な石油埋蔵量があるともみられている。

 

しかし、中国を統治している満州帝国の継承者がそのほぼ全部を自分たちが誇らしげに復活させている古代国家の一部だとますます強引に主張していることは、中国の周辺国のみならず米国も驚かせている。

 

彼らの歴史的な主張に基づく境界は、9本の境界線「九段線」で記されている。これは中国南部の海南島から遠くはインドネシア北岸近くまで伸びる線で、だらりと垂れた大きな舌のように、輪を描くように下がっている。

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中国は1947年の国民党政権が発行した地図に基づき、「九段線」内の領有権を主張しているが、正確な場所を示す座標を公表したことはない

 

「九段線」はこれまで常に不可解なものだった。旧中国国民党政権が台湾に逃れる前の内戦終戦前の混沌とした時期である1946年に描かれたものだ。実際、当初は9本ではなく11本だった。勝利を収めた共産党員がこの線を採用した後、1953年にそのうち2本が削除された。地図作成者は規模と正確さを尊重するが、九段線は正確な位置を示していない。太くて黒いマジックペンで書き足されたように見える。

 

さらに、中国政府がこの九段線の意味を適切に説明したことはない。この線の内部に点在する領域の要所に対する「疑う余地のない主権」という中国の主張は、この線自体から発生しているのだろうか。あるいは、その逆で、この線は領域の要所と周辺の海域から発生しているのだろうか?

 

フィリピンやベトナムブルネイ、マレーシアといった領有権問題で対立する中国の周辺諸国は、想像することしかできない。

 

こうした理由のため、国際法に従えば、九段線の正当性が認められる可能性はほとんどないだろうというのが、欧米の法学者たちの一般的な見解だ。

 

ほどなく、この問題がはっきりする可能性がある。フィリピンは3月30日、国連常設仲裁裁判所に提出した4000ページの意見陳述書の中で、九段線が無効だと主張した。こうした主張はこれまでで初めて。九段線に法的強制力がないと判断されれば、国連海洋法条約に基づいて設定された排他的経済水域EEZ)内の沖合いのエネルギー資源や漁業資源の開発が可能となる。中国はこれまでのところ、法的手続きを行っていない。

 

フィリピンの今回の画期的な行動には中国の反発というリスクが伴う。中国政府は既に、フィリピン政府との政治的関係をほぼ凍結している。ここ数日間、南シナ海のアユンギン(中国名・仁愛)礁への物資運搬をめぐり、中国船とフィピリン船舶がにらみ合うことになった。

 

しかし、もっと重要かつ、戦略計画レベルに発展する可能性のあることは、米国がそれまでの外交的慎重姿勢を止め、九段線を批判する勢力に加わっていることだ。

 

国務省東アジア太平洋地域担当のダニエル・ラッセル次官補は2月の議会証言で、米政府は主権問題ではっきりした見解を示していないが、中国が九段線によって領有権を主張しているため、「不確かさや不安感、不安定さ」が増していると指摘した。同次官補はその上で、米国は「国連海洋法条約に従い、中国が九段線の主張を明確にし、調整することを歓迎する」と述べた。

 

中国外務省の報道官は、「南シナ海での中国の権利と国益は歴史的に形成され、国際法で保護されている」と述べたが、それ以上の詳細には触れなかった。

 

国家安全保障会議で以前に中国・台湾・モンゴル関係を担当したPaul Haenle氏は、米国の姿勢転換につながったのは、昨年11月に中国が尖閣諸島などを含む東シナ海上空に広い範囲の防空識別圏ADIZ)を設定したことだとの見方を示した。

 

米政府はそれ以降、中国政府に対し、南シナ海で同じことを行わないよう明確に警告している。Haenle氏は米国は「ある朝目覚めて、この地域全体が変わっていること」を恐れていると指摘した。

 

しかし、米国が示唆するように、九段線を変更することは中国政府にとっては政治的に不可能かもしれない。中国はフィリピンの行動をあまりにも傲慢だとみなしている。習近平国家主席のいわゆる「チャイナ・ドリーム」に対する侮辱だと受け止めているからだ。

 

この件に関する国連仲裁裁判所の判断は明らかでないが、フィリピン政府の主張が認められる場合には、中国はその判断を単に無視し、以前と同じことを続けるだろう。最も簡単な解決策は、当事国すべてが領有権問題を棚上げし、同地域の天然資源の共同開発に焦点を絞ることだ。

 

しかし、これは中国帝国が伝統的に物事に対処してきた方法ではない。ここ数日間、フィリピンなどの小さな諸国は、中国を頂点とする階層の底だという身の程を知ることになった。フィリピン政府がその秩序を乱すのを中国が黙認するとは考えにくい。

中国が主張する南シナ海の「九段線」、フィリピンが挑戦状 - WSJ日本版

 

なんと、「九段線」とは、中国が勝手に南シナ海に上の図のように九本の線を引いて、「この線までが中国の領海だから。ヨロシク」って言っていることなのか。

 

この九本の線が地図上にどのように引かれているのか、正確な座標も公表されたことが無いと。。。。

 

ええっ!こんなことが世界でまかり通るのですか????

 

日本が、こんな無法なことをやり出したら、

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これはあり得ないけど、「この地図に囲んだ領域が日本の領域だから」と主張しようものなら、世界中から、日本国内からも一瞬でボコボコにされるでしょ。

 

うーん、「九段線」について、もう少し掘り下げて見る。

日本語のウィキペディアは何故か詳細が書かれいていない。

九段線 - Wikipedia

[1]1947年12月1日中華民国の内政省地域局が作成し、国民政府が議決・公布した『南シナ海諸島新旧名称対照表』及び『南シナ海諸島位置図』には、11段のU字線が中国の領海として取り囲まれるように描かれていた。当時、アメリカソ連イギリスフランスドイツ日本といった大国南シナ海周辺の国もU字線を認め、それぞれ南シナ海地図で“中国”という地名をつけた。

この記述は本当なのだろうか?下の記事を読んでも具体的な国名も見当たらないし「認めた」との記述もない。ただ、「関係国は黙認した」とある。うーん、怪しい記述である。

この記述の脚注がこの記事である

人民網日本株式会社事業案内  更新時間:09:52 Nov 23 2011

専門家:南中国海に公海は存在せず

               米国は「通りすがりの者」に過ぎない

米国は長年にわたり、南中国海における航行と上空の飛行の自由を堅持し、南中国海を公海と見なそうと企ててきた。英国、オーストラリア、日本、インドなど非沿岸国も次々と南中国海における航行と上空の飛行の自由を主張し、南中国海紛争に介入し、沿岸各国の対立を激化させている。(文:潘国平・西南政法大学教授。「環球時報」掲載)

南中国海に公海は存在するのか?非沿岸国である米国に航行と上空の飛行の自由は成立するのか?答えは否だ!南中国海に公海は存在しない!米国など非沿岸国は一定の条件下で航行と上空の飛行の自由を享有することはできるが、わがもの顔に振る舞うことは断じて許されない。

「9点破線」(中国語「九段線」。南中国海で中国の主張する境界線で、「牛の舌」とも呼ばれる)内は歴史的水域であり、公海の存在する余地はない。南中国海は古来中国の領土だ。鄭和は7回の大航海によって南中国海を開発し、かつ行政管轄を確立した。抗日戦争勝利後、中華民国政府海軍は南中国海海域・島嶼を使用し始め、水文学調査を行った。1947年には「11点破線」を主権と権益の境界線として確立し、世界に公布したが、国際社会は反対しなかった。1949年に中華人民共和国が成立すると、ベトナムとの友好関係から2点を譲り、「9点破線」を保持した。これは中国地図に明記し、かつ世界中で発行したが、関係国は黙認した。1958年に発表した領海声明で、中国は南中国海諸島を明確に自国領と宣言した。ベトナムのファム・ヴァン・ドン首相(当時)はこれに賛同した。1996年7月7日の「国連海洋法条約」国内発効まで、中国は終始一貫して「9点破線」を南中国海における中国の主権および付属権利の境界線として堅持してきた。つまり、南中国海における中国の歴史的権利はすでに1947年に形成されていたのである。1947年というのは非常に鍵となる時間点であり、これを明確にしなければならず、断じてぐらつかせてはならない。南中国海における中国の歴史的権利は「9点破線」にあり、「9点破線」内に公海の存在する余地はないのである。

また、「9点破線」外の水域も周辺国の主張する200海里の排他的経済水域EEZ)にほぼ覆われている。現在周辺国は基線から12海里内の領海、24海里内の接続水域、200海里内のEEZを主張しており、残る水域を公海としないばかりか、すでに「9点破線」を越えて中国の歴史的水域に侵入し、中国の主権と海洋権益を著しく侵害している。ベトナムやフィリピンは200海里のEEZにも満足しておらず、一部海域を公海として残すのは不可能だ。このため、「9点破線」外にも公海はほとんど存在しないのである。

したがって南中国海の「9点破線」内外に公海の余地はなく、中国は慣習国際法に基づき他国に航行と上空の飛行の自由を与えている。それがなんと米国に南中国海を指導する口実にされたことに、人々は義憤をたぎらせている。たとえば米国は「インペッカブル」号が「9点破線」に侵入して、中国の取締船に追い払われた際、国連海洋法条約を引用して中国に反論した。だが実際は米国は同条約の締約国ではなく、南中国海の沿岸国ですらないのに、この海域でわがもの顔に振る舞っているのである。中国は「9点破線」内における他国の航行と上空の飛行に便宜は提供できるが、非道な行いは断じて許すことができない。

南中国海において「通りすがりの者」に過ぎない米国が日増しに野心を拡大し、その支持の下で周辺国が挑発行為に出ていることに、われわれは危機の所在を知った。われわれは各国が資源を分割する時代に生きている。世界の人口は70億人を突破し、資源は日増しに逼迫している。南中国海の豊富な資源と重要な地位が各国の奪い合いの焦点となることは間違いない。周辺国は島嶼主権と豊富な資源を高望みし、域外の大国は「公海の航行の自由と上空の飛行の自由」を理由に南中国海問題にみだりに干渉し、さらには周辺国と連合して中国を形成する構えすら見せている。中国の友好姿勢はその都度弱さと解釈されており、もし「通りすがりの者」も指導に来るのなら、南中国海における中国の主張は徐々に敗退していくのみだ。したがって中国はより強硬な姿勢を示すべきだ。二国間関係によって周辺国と一つ一つ協議し、域外の大国の干渉を断固退け、自らの有す「9点破線」の歴史的権利を守るのだ。(編集NA)

 「人民網日本語版」2011年11月23日

 

こういう考え方を覇権主義というのであろう。

 

英語版で見ると

Nine-dotted line - Wikipedia, the free encyclopedia

「九段線」って日本語訳もおかしいよね。直訳すると「九つの点線」でしょ。

 

History[edit]

 

The nine-dotted line was originally an eleven-dotted-line first shown on a map published by the Kuomintang government of the Republic of China (1912–1949) in December 1947 to justify its claims in the South China Sea.[3] After the Communist Party of China took over mainland China and formed the People's Republic of China in 1949, the line was adopted and revised to nine as endorsed by Zhou Enlai.[3] After evacuating to Taiwan, the Republic of China has continued its claims, and the nine-dotted line remains as the rationale for Taiwan's claims to the Spratly and Paracel Islands.

【九段線は、元々は十一段線として1947年の12月に中華民国の国民党が発行した地図に示されたのが最初である。中国共産党が中国本土を引き継ぎ、1949年に中華人民共和国を建国した後に十一段線も踏襲され、周恩来政権時に九本に変更された。台湾に追いやられた後、中華民国も自らの主張を続け、九段線を拠り所として西沙諸島南沙諸島領有を主張している。】

The nine-dotted line has been used by China to show the maximum extent of its claim without indicating how the dots would be joined if it was continuous and how that would effect the extent of the area claimed by China.[3] The Philippines, Vietnam, Malaysia, Brunei and Indonesia have all officially protested over the use of such a line.[4] Immediately after China submitted a map to the UN including the 9-dotted lines territorial claim in the South China Sea on May 7, 2009, the Philippines lodged a diplomatic protest against China for claiming the whole of South China Sea illegally. Vietnam and Malaysia filed their joint protest a day after China submitted its 9-dash line map to the UN. Indonesia also registered its protest, even though it did not have a claim on the South China Sea.[1]

【九段線は、中国政府により、この九つの点線がどのように繋がるのかを指し示されることもなしに、また、中国が主張する広大な領域がどのような効果を及ぼすのかも示されることなしに、主張する最大領域を見せつける為に使われてきた。フィリピン・ベトナム・マレーシア・ブルネイインドネシア、これらの全ての国が九段線など認めないと公式に抗議している。2009年の5月7日に中国が南シナ海を中国の領域とする九段線が描かれた地図を国連に提出すると、フィリピンがその日に、中国に対して南シナ海全域を主張することは国際法違反であるという外交抗議を行っている。ベトナムとマレーシアも、中国が国連に九段線の地図を提出した翌日に、共同で抗議を申し立てている。インドネシアもまた、南シナ海に対しては部外者であるにもかかわらず抗議を表明した。】

In 2013 the PRC extended their claims with a new ten-dash map,[5] but asserted that they had control over foreign fisheries in only a subset of the region.[6]

【2013年、中国は「新十段線」を主張し始め、その海域の外国漁船の取り締まりを強化している。】

 

これが「新十段線」である。

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台湾の東、日本の与那国島の西すぐに新しく一本、線が引かれていますよ。これって日本も関わってくるでしょ!

 

NHKが「九段線」に触れないのも、この「十段線」に光が当たるのを恐れてではとの邪推が生まれてきます。

 

このような中国の世界の秩序を無視した、野獣の如き覇権主義を目の当たりにすると、安倍首相が行おうとしていることも納得がいく。

 

今後ますます強大化する中国に対して、平和を堅守するにはどうすれば良いのかをひとりひとりが考える時期に来ていると思う。