まどゐ。

~ おもゐを嗣ぎ、おもゐを纏ひ、おもゐを遣る ~ 

【老子道徳経 第六十一章】 自由の風

 

【今日のこよみ】 旧暦2014年 4月 1日 仏滅  四緑木星

         庚午 日/己巳 月/甲午 年 月相 29.3 朔 

         穀雨 次候 霜止出苗(しもやみてなえいづる)    

  

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大國者下流。

 

天下之交、天下之牝。牝常以靜勝牡。以靜爲下。

 

故大國以下小國、則取小國、小國以下大國、則取大國。

 

故或下以取、或下而取。

 

大國不過欲兼畜人、小國不過欲入事人。

 

夫兩者、各得其所欲、大者宜爲下。

 

 

 

【書き下し文】

 

大国は下流なり。

 

天下の交(こう)、天下の牝(ひん)なり。牝は常に静(せい)を以(も)って牡(ぼ)に勝つ。静を以って下ることを為せばなり。

 

故に大国以って小国に下れば、則(すなわ)ち小国を取り、小国以って大国に下れば、則ち大国を取る。

 

故に或(ある)いは下りて以って取り、或いは下りて而(しか)して取る。

 

大国は兼ねて人を畜(やしな)わんと欲するに過ぎず、小国は入りて人に事(つか)えんと欲するに過ぎず。

 

それ両者、各々(おのおの)その欲する所を得んとせば、大なる者は宜(よろし)く下ることを為すべし。

 

 

 

 【私的解釈】

 

大きな国は、言うなれば大河の下流域のようなものだ。

 

世の中の流れが集結してくるところであり、世の中の清濁全てを受け入れる母性をもつ。母は、全てを黙って受け入れるから父より強い。大きな国も黙って全てを受け入れ、下手につくことで相手に自由の風を感じさせているのだ。

 

だから、大国が小国の下手について小国の君主に自由の風を感じさせれば、小国を統治でき、小国が大国の下手について大国の君主に自由の風を感じさせれば、大国の庇護が得られる。

 

だから、ある者は下手について自由の風を感じさせることにより傘下に治め、ある者は下手について自由の風を感じさせることにより庇護を得る。

 

大国は、他の国をも養いたいと望んでいるに過ぎず、小国は、他の国に傘下に入り平和に仕えたいと望んでいるに過ぎない。

 

この両者がお互いに望んでいることを叶えようとすれば、相手の下手について自由の風を感じさせることが必要である。大国は進んでこのことを実践すべきである。

 

 

 

【雑感】

 

「掌で転がす」という言葉がある。人などを意のままに操るという意味で使われる。

 

老子の言う関係はこの関係だろう。大国が小国を支配しようとするならば、小国の自由にさせて掌で転がせば良い。小国が大国の庇護を受けたければ、大国の自由にさせて掌で転がせば良い。

 

この法則は、国家同志の関係だけでなく、人間同志や自然との関係にも通用する。

 

孟子も言っている。

『人間たるもの、誰でも他の人間に対して思い遣りの心があるものだ。いにしえの王は、人間に対して思い遣りの心を持って、人を思い遣る政治をした。このように、人間に対して思い遣りの心を持って、政治をするならば、天下を治めることは掌の上で転がすようにたやすいことだ』と。

 

相手を思い遣りそれに感謝する。平和を維持するにはこれを継続して実行しさえすればよい。これが法則である。

 

人間は地球の掌の上で転がされており、地球は自然の管理を人間の自由に委ねている。つまり、人間は地球から思い遣られている関係だと言える。だとしたら人間も地球を思い遣り感謝の気持ちを発するのが当たり前のこととなる。

 

主要祭儀一覧 - 宮内庁や全国津々浦々で行われる祭りの由来を調べると分かるように、日本は地球(自然)に対する感謝を当たり前のこととして建国から継続して行ってきている国である。

 

この古からの伝統により受けている恩恵のことを思い返す時に来ている。