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まどゐ。

~ おもゐを嗣ぎ、おもゐを纏ひ、おもゐを遣る ~ 

【二宮翁夜話 巻之一 十三】 道を論じて儉(倹)と吝(りん)とを明(あきらか)にす

 

【今日のこよみ】 旧暦2014年 3月26日 仏滅  四緑木星

         丙寅 日/己巳 月/甲午 年 月相 25.3  

         穀雨 次候 霜止出苗(しもやみてなえいづる)    

 

【今日の気象】 天気 晴れ 気温 14.2℃ 湿度 63% (大阪 6:00時点)  

 

 

 

 

翁曰く。
 
世の中に事なしといへども、變(変)なき事あたはず、是れ恐るべきの第一なり。變ありといへども、是を補ふの道あれば、變なきが如し。變ありて是を補ふ事あたはざれば、大變に至る。
 
古語に三年の貯蓄なければ、國にあらずと云へり、兵隊ありといへども、武具軍用備らざればすべきやうなし。
 
只國のみにあらず、家も又然り。夫(そ)れ萬の事有餘(余)無ければ、必ず差支へ出來て家を保つ事能はず。然るをいはんや、國天下をや。
 
人は云ふ我が教へ、儉(倹)約を専らにすと。儉約を専らとするにあらず、變に備へんが爲なり。
 
古語に飲食を薄うして、孝を鬼神に致し、服を惡うして、美を黻冕(ふつべん)に致し、宮室を卑(いやし)うして、力を溝洫(こうきょく)に盡(つ)くすと。
 
能々(よくよく)此の理を玩味(がんみ)せば、吝(りん)か儉か辯を待たずして明かなるべし。

 

 

【私的解釈】

 

尊徳翁が言う。

 

世の中が平穏無事といっても、現況は刻々と少しずつ悪い方へと変わっている。この事実は、恐れなければならないことの筆頭である。小さな変化があってもこの変化を正そうとする道(おもゐ)があれば、変化しないことと同じことである。小さな変化があってもこの変化を正そうとすることがなければ、すぐに大きな悪化へと至ってしまう。

 

昔から伝わる言葉に、三年分の貯蓄が無ければ国ではないと言う。兵隊を抱えていても、武器を備え鍛錬を積んでいなければ、その用をなさない。

 

もちろん、国だけに当てはまるのではなく家にも当てはまる。万事に余裕が無ければ、必ず差し支えることとなり、家内の平穏無事を維持することなど出来ない。ましてや、国や世の中を平穏維持することなど到底不可能だ。

 

人は、私の教えを倹約第一と言う。勘違いしてはいけない。私が倹約第一を唱えることは、小さな変化に備え、平穏無事を継続させる為の手段の一つに過ぎないのだ。

 

昔から伝わる教え(*1)に、古代の聖王禹は、自分の飲食を粗末にして神や先祖を敬い、自分の普段着を質素にしてお祭りの時の衣装を立派にし、自分の宮殿を素朴にして民衆の農業を助ける灌漑水路敷設に力を尽くしたと、今に伝え聞く。

 

よくよくこの教えの意味するところを味わえば、物惜しみすることと倹約することとの違いは、議論するまでもなく明らかなことであろう。

 

 

*1 論語 泰伯第八ー二十一

子曰。禹吾無間然矣。菲飮食。而致孝乎鬼神。惡衣服。而致美乎黻冕。卑宮室。而盡力乎溝洫。禹吾無間然矣。

 

【書き下し文】

いわく、われ間然かんぜんすることし。飲食いんしょくうすくして、こう鬼神きしんいたし、衣服いふくしくして、黻冕ふつべんいたし、宮室きゅうしつひくくしてちから溝洫こうきょくくす。われ間然かんぜんすることし。

 

【現代語訳】

先生がいわれた。禹は王者として完全無欠だ。自分の飲食を粗末にして神や先祖を敬い、自分の普段着を質素にしてお祭りの時の衣装を立派にし、自分の宮殿を素朴にして民衆の農業を助ける灌漑水路敷設に力を尽くした。禹は王者として完全無欠だ。

 

 

 

【雑感】

 

個人主義の行き着く先が今、アメリカで現象となって現れている。

 

“独立”する富裕層  - NHK クローズアップ現代

2014年4月22日(火)放送

 

100万ドル以上の資産を持つアメリカの富裕層。その富裕層が今、自治体の在り方を変えようとしています。貧富の格差による社会の分断が進むアメリカ。富裕層は税金が貧困層のためばかりに使われていると反発。みずからが住む地区を周囲と切り離し、新たな自治体を作る動きを強めています。

“独立”する富裕層 - NHK クローズアップ現代

 

●格差拡大し加速化する社会の分断 この動きをどう受け止める?

今まさにアメリカは、経済格差が完全に1%の持てる者とそれからそれ以外の持たざる者、完全に国を分断してしまっていると。
そういう状況になっています。


(分断されていると。これが法律の下に行われている。自治体を作るという動きはそうだったが?)

はい。もともと合法的に市が独立するということはもちろん可能なんですけれども、サンディ・スプリングス市のように、統治機能まで含めて民営化してしまう、民間に委託して、そうするともう税金というものが全く意味が変わってきて、サービスをお金で買うという契約社会になっていくわけですね。その分税が、税金が囲い込まれることになるので、不動産の価格は上がる、その周りの地域が税収が減って、荒廃していくと。ですから全米の都市の中に、捨てられた居住区のようなものが、点々と今存在している状況になっております。

●富裕層やその周辺地域 実際に取材に行ってどうだったか?

サンディ・スプリングス市自体は、本当にお金持ちの社会主義国のような、天国のような、ぴかぴかですばらしい所だったんですけど、本当に目に見えないフェンスが建っていて。


(目に見えないフェンス?)


はい、フェンスで囲われている、合法的な特権地区というような形ですね。先ほども言いましたように、税収がほかで減っていきますので、やはり仕事がなくなって、まず治安が悪くなるんですね。そうすると犯罪率が高くなりますから、ますますフェンスは高くなっていく。ここがやっぱり1番大きいです。サンディ・スプリングス市のような所の近くにある都市で取材をしたときに、公共サービスの1つとして刑務所を維持できないから開放すると。


(刑務所を開放する?すると、どうなるのか?)

そうなると囚人が街に解放されて、たくさん普通に歩くようになるんですけれども、警察もまた公務員ですから、警察は失業中なわけです。ですから非常に恐ろしいSFのような状況になっていて、片や、目に見えないフェンスの中の富裕層の地区は、非常にハイテクでハイセキュリティーの地区になっていると、すごくコントラストが激しかったですね。

●公共サービスの1つ 教育という点ではどうだったか?

アメリカは、教育予算が連邦と自治体と半分ずつ予算を出すんですけれども、サンディ・スプリングス市のような例えば富裕層の街というのは、公立の学校にやる必要がないので、公教育にお金を出すという概念がなくなっていくんですね。そうしますと、公立の学校が切り捨てられていった州では、自治体では、貧困層の子どもの受け皿がなくなっていくので、教育難民、学校に行かれなくなった子どもたちが、もう全米各地の都市であふれているという、そこまで事態が進んでおります。


(先進国のアメリカで、そういうことがすでに起きている?)

そうですね。ブッシュ政権、オバマ政権と続いた2大政権で公教育を解体して、教育ビジネスという民間サービスに委託するということを国が後押ししてやってきたんですね。ですから公教育というのは、弱い立場の子どもたちを平等にすくい取るという社会的共通資本ですから、これが徐々に解体されているということです。

●フェンスを隔て、本当に互いが見えないのか?

そうですね。これは本当に今、アメリカで起きていることというのは、1つの国の中に2つの違う国が存在しているような感じで、例えば日本で若年ホームレスは私たちの目に映らないというようなこといわれますけれども、フェンスの中の富裕層にとって、フェンスの外の荒廃した、捨てられた居住区の人たちは、やはり見えないわけですね。全くお互い別の次元に住んでいるような、そんな状況になっています。

(別の次元?)

はい。

●格差是正のためにある公共サービス 富裕層がその義務を放棄するとどうなる?

公共ですとか税金ですとか、共同体とか、もっといってしまうと、もう国とは何かという、そのコンセプトが全く違うものになっていく。お金を払って、その分のサービスをもらうという契約社会のようになっていくわけですよね。ですから言ってみれば、お金がなくなったらそこでそのコミュニティーに、地区の中には恐らくいられなくなると、それが縁の切れ目のようになってしまう。公共という概念があれば、弱い立場になったり、急に事故に遭って障害を負ってしまったり、高齢になってしまったりという、困った立場になったときは、税金を払っている分、国や自治体が守ってくれると、それが公共の概念なんですけれども、全くこれが対極にあるという、こちらは株式会社化された自治体であり、国家だということになっています。

●アメリカンドリーム 今は存在しないような状況?

80年代ぐらいまでは頑張れば報われるとか、努力すればチャンスをつかめば、マイノリティーでもスターになれる、そういうのがあったんですけれど、今、構造として1%が99%を切り捨てていく構造を、国の政策が後押しをしているために、アメリカンドリームが機能する構造自体が崩れていると。そしてまた中流層が消滅していますから、ますます富める者はますます富む、それ以外の者は地盤沈下していくという、国の構造が全く変わってしまっているんですね。

●アメリカという国は今後どうなっていくのか?

今アメリカ国内にも2つの流れがありまして、オバマ大統領はブッシュ政権の政策を継承して、1%のための、より1%が大きくなっていくような政策の方向性を進めてはいるんですけれども、一方で、1対99%の分断はおかしいじゃないかと、失われたものをもう一度取り戻したいという声が、相当アメリカで大きくなっている。これ今、どちらの流れがこの国を、未来を引っ張っていくかという、今ちょうど岐路にいるという。

(岐路とは、国を見つめ直す時期ということか?)

国とか共同体は何かということですね。

 

個人主義の行き着く先が上の状態なのであろう。富裕層だけの社会が長期に渡って平穏無事に続くとは到底思えない。自分が生きている間だけ良かったらそれで良いのだというおもゐがそこにはある。

 

日本も他人ごとではない。このままでは、遅かれ早かれアメリカで起きているような状態に陥ることになるだろう。

 

しかし、幸いなことに日本は昔から個人主義の国ではなく、人間の徳をベースにして築かれて来た、世界でも独特な建国の精神を持つ「しらす」国である。

 

今、この時期に世の中で道徳教育のあり方が問題となったり、教育勅語の原本が見つかったりしていることは単なる偶然ではなく、日本に漂う正氣からの啓示なのだと、私は思う。