【老子道徳経 第五十八章】 極限がもたらす害
【今日のこよみ】 旧暦2014年 3月25日 先負 四緑木星
乙丑 日/己巳 月/甲午 年 月相 24.3
穀雨 初候 葭始生(あしはじめてしょうず)
【今日の気象】 天気 晴れ 気温 10.6℃ 湿度 48% (大阪 6:00時点)
其政悶悶、其民醇醇。
其政察察、其民缺缺。
禍兮福之所倚、福兮禍之所伏。
孰知其極。
其無正。正復爲奇、善復爲訞。
人之迷、其日固久。
是以聖人、方而不割、廉而不劌、直而不肆、光而不耀。
【書き下し文】
その政(まつりごと)悶悶(もんもん)たれば、その民は醇醇(じゅんじゅん)たり。
その政察察(さつさつ)たれば、その民は欠欠(けつけつ)たり。
禍いは福の倚(よ)る所、福は禍いの伏(ふ)す所。
孰(た)れかその極を知らん。
それ正なし。正は復(ま)た奇と為(な)り、善は復た訞(よう)と為る。
人の迷えるや、その日固(もと)より久し。
ここを以(も)って聖人は、方(ほう)なるも而(しか)も割(さ)かず、廉(れん)なるも而も劌(すこな)わず、直なるも而も肆(の)びず、光あるも而も耀(かがや)かず。
【私的解釈】
政治がおおらかでのんびりしたものであれば、民は純朴で奥行きが深い空気を帯びる。
政治が行き届いてはっきりしたものであれば、民はずる賢くよこしまな空気を帯びる。
災難が起こればそこには幸運もよりそっており、幸運が起こればそこには災難も潜んでいる。
その極限に行き着いたあと先は、誰にも分からない。
そこにまともな秩序などない。まともの対極は型破りであり、善の対極は怪である。
この現象にこそ真相が潜んでいるのだが、人々はこの真相に気付かずに迷宮に長い間迷い込んでいる。
だからこそ聖人は、方正とはいっても、この秩序を維持する為に人を裁いたりせず、廉潔とはいっても、このために人を傷つけたりせず、真っ直ぐとはいっても、このためにどこまでも押し通したりはせず、知識の光を持つとはいっても、このために輝きを外に向けることはない。
【雑感】
「政治がおおらかでのんびりしたもの」とは、政治家が一体何をしているのかが庶民にはてんでに分からない状態をいうのだろう。情報が伝わるのが遅かった昔は、そういう状態が当たり前だったのだと思う。結果、人は自分の目の前の出来事だけに対処すれば良く、清々しくのんびりした空気が世の中に漂っていた。
一方、情報が即座に世界中を駆け巡る現代は、常に「政治が行き届いてはっきりしたもの」となってしまう。こうなると、皆が抜け駆けしようと政治に注目する。結果世の中に邪(よこしま)な空気が充満することとなる。
上でいう「清々しくのんびりした空気」とは現代と比べての現象であり、「邪(よこしま)な空気」とは昔と比べての現象である。昔の「清々しくのんびりした空気」の中にも邪なるものは存在したし、現代の「邪(よこしま)な空気」の中にも清々しくのんびりしたものは存在する。つまり、世の中の空気が一色だけに染まる事は決してないのだ。
この混沌とした世の中で目指すべきところは以下のところだろう。
菜根譚 第四条
勢利紛華、不近者為潔、近之而不染者為尤潔。
智械機巧、不知者為高、知之而不用者為尤高。
【書き下し文】
勢利紛華(せいりふんか)は、近づかざる者を潔(きよ)しとなし、これに近づきてしかも染まらざる者をもっとも潔しとなす。
智械機巧(ちかいきこう)は、知らざる者を高しとなし、これを知りてしかも用いざる者をもっとも高しとなす。
【私的解釈】
権勢名利や豪奢華美などと距離を置く者は清潔である。これに自ら近づいても決して染まることのない者は一層清潔である。
悪賢く策を弄することなどを思い付くことの無い者は高潔である。思い付いても決して用いることのない者は一層高潔である。
配信日時:2014年4月22日 20時27分
2014年4月21日、人民日報海外版・海外網は、韓国船沈没事故に関連して、米メディアの見解を紹介した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、「セウォル号の沈没事故はすでに朴槿恵(パク・クネ)政権にとって難問と化した。セウォル号を所有する韓国の清海鎮海運会社の代表取締役はショックで入院し、真っ先に脱出した船長の身柄が拘束されていることもあり、メディアや乗客家族らは怒りの矛先を政府に向け、政府が批判の矢面に立たされている」と指摘した。
さらに、韓国に駐在する外国人記者の意見を紹介。「韓国では毎日のように汚職が取り上げられ、民衆の政府に対する信頼度が低水準を推移している。韓国の教育では、感情的になりがちな物事に対して、理性を持って対処する方法を教えていない」と自身の見解を述べた。(翻訳・編集/内山)
韓国のフェリー事故における人間模様はカオスそのものである。しかし、この混沌とした韓国社会の中にも必ず清廉高潔な人物が世に埋もれて存在する。これが人間界の法則である。そこに焦点を合わせるべきなのだ。