まどゐ。

~ おもゐを嗣ぎ、おもゐを纏ひ、おもゐを遣る ~ 

【老子道徳経 第五十二章】 万物の母への感謝

 

【今日のこよみ】 旧暦2014年 3月19日 先負  四緑木星

         己未 日/己巳 月/甲午 年 月相 18.3 

         清明 末候 虹始見(にじはじめてあらわる)     

 

【今日の気象】 天気 雨 気温 13.2℃ 湿度 62% (大阪 6:00時点)  

 

 

天下有始、可以爲天下母。

 

既得其母、以知其子。既知其子、復守其母、没身不殆。

 

塞其兌、閉其門、終身不勤。開其兌、濟其事、終身不救。

 

見小曰明、守柔曰強。

 

用其光、復歸其明、無遺身殃。

 

是謂襲常。

 

 

 

【書き下し文】

 

天下に始(はじめ)有り、以(も)って天下の母と為(な)すべし。

 

既にその母を得て、以ってその子を知る。既にその子を知り、またその母を守らば、身を没(お)うるまで殆(あや)うからず。

 

その兌(あな)を塞(ふさ)ぎ、その門を閉ざせば、終身勤(つか)れず。その兌を開き、その事を済(な)せば、終身救われず。

 

小を見るを明と曰(い)い、柔を守るを強と曰う。

 

その光を用いて、その明に復帰すれば、身の殃(わざわい)を遺(のこ)す無し。

 

これを常に襲(よ)ると謂(い)う。

 

 

 

 

【私的解釈】

 

この世の全てには、はじまりがある。それを万物の母とよぶ。

 

この母親のことを理解すれば、この世の中で生じるあらゆることを理解することが出来る。また、この母親のことを大切にすれば、生涯に渡り、自分を滅ぼすことを避けることが出来る。

 

人間の欲望を産み出す穴をふさぎ、克己すれば、生涯に渡り疲れることがない。この穴を開いて、なすがままにすれば、一生、欲望に振り回される。

 

小さな気付きが、生きる道を明るく照らし、臨機応変に生きることで、この光が更に強くなる。

 

この光を照らしながら人生を歩けば、身に降りかかる災いがことごとく消えていく。

 

こうすることで、世の中の目につかずに、ありふれた毎日を過ごせるのだ。

 

 

 

 

【雑感】

 

万物の母は己の心の内でいつも微笑んでいる。それに気付くかどうかで運命が別れる。

 

菜根譚 第四十六条

人人有個大慈悲、維摩屠劊無二心也。

処処有種真趣味、金屋茅簷非両地也。

只是欲蔽情封、当面錯過、使咫尺千里矣。

 

【書き下し文】

人々に個の大慈悲あり、維摩(ゆいま)・屠劊(とかい)も二心なきなり。

処々に種の真趣味あり、金屋・茅簷(ぼうえん)も両地にあらざるなり。

只だこれ欲蔽(おお)い情封じ、当面に錯過(さっか)して、咫尺(しせき)をして千里ならしむ。

 

【私的解釈】

誰にでも大慈大悲の良心はあるもので、維摩居士も、屠殺人や死刑執行人も、同じ人間だから心は一つだ。どんな居場所でも、真の楽しみはあるもので、金殿玉楼も茅葺きの賤家(しずや)も、共に素敵な住まいだ。しかし、一旦欲望にくらまされて情が閉じてしまうと、目の前の現象に振り回され、わずかな隔たりが千里の隔たりへと陥る羽目となってしまう。