【老子道徳経 第四十八章】 無邪気は無敵
【今日のこよみ】 旧暦2014年 3月13日 先負 四緑木星
癸丑 日/己巳 月/甲午 年 月相 12.3
清明 次候 鴻雁北(こうがんかえる)
【今日の気象】 天気 晴れ 気温 6.9℃ 湿度 25% (大阪 6:00時点)
爲學日益、爲道日損。
損之又損、以至於無爲。
無爲而無不爲。
取天下常以無事。
及其有事、不足以取天下。
【書き下し文】
学を為(な)せば日々に益(ま)し、道を為せば日々に損(そん)す。
これを損して又(ま)た損し、以(も)って無為(むい)に至る。
無為にして為さざるは無し。
天下を取るは、常に無事を以ってす。
その事有るに及びては、以って天下を取るに足らず。
【私的解釈】
学習すると知識が増える。道にせまると知識は消えていく。
どんどん知識は消えていき、遂に無為に至る。
無為の状態で出来ないコトは何もない。
天下を取るには、無理をしてはいけない。
無理をしなければいけないのなら、天下に立つ器ではないのだ。
【雑感】
学習すると知識は増える。知識が増えると、この知識を脳が使って勝手に判断を下してしまう。
世の中の法則は、因果則である。原因が生じないと結果は現れない。宝くじは買わなければ絶対に当たる事はないというのと同じ。
脳はお節介にも人間が行動するのを妨げる方向で働く。考えてみたら無理だと分かったから実行するのは止めておこう。何かにチャレンジする時、この囁きと葛藤するのが人間という生き物である。そして、大方この囁きを受け入れチャレンジすることを諦める。
こうなると、脳という器官は、人間の可能性(夢)を食い破る魔物なのかも知れない。
ある書物によると、神様の普段の心境は常に達成感に満たされているという。神は物事を達成した時に感じる、あの高揚感で常に満たされているというのだ。だから子供は競争することが好きなのだろう。競争に勝って神の心境に浸りたい、これが人間の本能なのかもしれない。下の動画で悔し泣きをする子供なんて本能がむき出しになった状態なのだろう。
しかし、常に勝ち続けられないのがこの世の中である。負け続けてしまう場合もある。こうなると、もうチャレンジをしなくなる。人間の無邪気な本能(陽なるモノ)を脳が出す信号(陰なるモノ)で覆い隠してしまう。
老子は、無為の状態(神の心境)で出来ないことは何もないという。そして、敗北感に打ちのめされた大人に対して、無理をして一発逆転を狙わずに、小さな小さな達成感を少しずつ少しずつ積み重ねて生きろと言っているのだ。