【老子道徳経 第四十七章】 聖人の能力
【今日のこよみ】 旧暦2014年 3月12日 友引 四緑木星
壬子 日/己巳 月/甲午 年 月相 11.3
清明 次候 鴻雁北(こうがんかえる)
【今日の気象】 天気 晴れ 気温 7.2℃ 湿度 45% (大阪 6:00時点)
不出戸知天下、不闚牖見天道。
其出彌遠、其知彌少。
是以聖人、不行而知、不見而名、不爲而成。
【書き下し文】
戸を出(い)でずして天下を知り、牖(まど)より闚(うかが)わずして天道を見る。
その出ずることいよいよ遠(とお)ければ、その知ることいよいよ少なし。
ここを以(も)って聖人は行かずして知り、見ずして名(あきら)かにし、為(な)さずして成す。
【私的解釈】
家の外を歩き回らずして、世の中の空気を感じ、窓から外を眺めずして、世の中の真の姿を見る。
家の外を長く歩き回れば回るほど、感じることが少なくなっていくものだ。
だから、聖人は動き回らず世の中の空気を感じ、眺めずにその姿を見、何もせずに全てを成し遂げる。
【雑感】
世の中で必死に生きている人たちを馬鹿にしたような言葉に解釈出来る。
聖人というのは、あくせく働いたりしないものなのだと。
ここで言っているのはそうではない。世の中で必死に生きているとあらゆる出来事に遭遇してあらゆる経験を積み重ねる。そうすると、世の中の法則というものを理解できるようになる。
世の中は一つではなく、層を成している。この層を貫く法則が見えるようになるのは並大抵なことではない。人間の本能が自分が属する層(居場所)を離れるのを嫌うから。
聖人はこの世界のあらゆる層を自ら体験し、渡り歩き、層を貫く法則を感じ取った人達なのだ。
となると、今の社会のシステムでは多くの聖人は世に埋もれる。社会が代々上の層に住む既得権者のみに運用され、自分たちに都合の良い法則を用いるから聖人など必要とされないのだ。
今騒動になっているSTAP細胞の問題も、従来の科学者達で用いられてきた法則を無視して、自らの法則を用いる異端者が現れたので、これを排除している現象とも見ることができる。
しかしながら、満ちれば欠けるの如く、人間社会の歴史を振り返っても一つの層に属する人間が世の中を思い通りにし続けることなど出来やしない。
世の中が乱れると聖人の存在が自ずと浮かび上がるのだ。
今の日本も社会が格差を容認する方向に進んでいる。裏返して言えば既得権益層が蔓延る世の中となって来ている。
その行き着く先は乱世となるのは間違いない。