【神相全編 秘伝手相奥義】 其の一 手を論ずる
神相全編とは、
中国では春秋時代に叔服が手相術を創始し,姑布子卿(こふしけい)が広めたといわれる。袁忠徹の《神相全編》は手相の最古の包括的文献で,日本にも伝えられた。日本では平安時代に貴族階級に広まり,江戸末期まで中国易学に基づく手相術が栄えた。
この中国三千年の手相奥義である「神相全編」を紹介していきたい。
論手
夫手者其用所以執持、其情所以取捨。
故繊長者性慈而好施、短厚者性鄙而好取。
手垂過膝者蓋世英賢、手不過腰者一生貧賎。
身小而手大者福禄、身大而手小者清貧。
【書き下し文】
手を論ずる
それ手は其の用を執持(しつじ)する所以(ゆえん)にして、其の情は取捨する所以なり。
故に繊長なる者は性慈にして施すことを好み、短厚なる者は性鄙(せいひ)にして取ることを好む。
手垂れて膝を過ぐる者は蓋世(がいせい)の英賢なり、手腰を過ぎざる者は一生貧賎なり。
身小にして手大なる者は福禄あり、身大にして手小なる者は清貧なり。
【私的解釈】
手は、物を取ったり、支えたり、人間が生活して行く上で最も必要な器官であり、咀嚼と共に唯一意志通りに細やかに動かすことが出来る器官である。又、人の心の内が発露して、怒りで震えたり殴りかかったり、楽しみや喜びで手を叩き、慈しみが愛撫の動作となって感情を表現させる。これだけ鋭敏な手であるから、人の心の一部が表面に現れて、手に相を生じさせ、精神の変化を示唆し、吉凶の現象を生じさせることとなる。
手の指が長く、ほっそりして品が良い者は、性格が穏やかで慈悲の心が深く、仏のような温かい心で物の施しを好み善行を積むから、他人から敬慕を受ける相である。
手の指が短く、むっくりとした肉付きの良い者は、性格が利に敏(さと)い為、野卑に見えるが、質素で素朴を好むから、物を蓄えて財を積み、富を作る相である。
手の長さが膝まである者は、一世の賢者としてその名を天下に轟かす相である。
手が腰に届かない者は、生涯楽が出来ない相である。
身体が小さいにもかかわらず、手指が太く大きい者は、一生裕福安泰である相。
身体が大きいにもかかわらず、手指が短く小さい者は、曲がったことが出来ない為、世渡りに苦労し、一生貧しく暮らすこととなる相である。