【老子道徳経 第二十八章】 人間の器
【今日のこよみ】旧暦2014年 1月 7日先勝 四緑木星
戊申 日/丁卯 月/甲午 年 月相 6.2 上弦前日
立春 初候 東風解凍(はるかぜこおりをとく)
【今日の気象】 天気 晴れ 気温 ー0.4℃ 湿度 58%
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知其雄、守其雌、爲天下谿。
爲天下谿、常徳不離、復歸於嬰兒。
知其白、守其黒、爲天下式。
爲天下式、常徳不忒、復歸於無極。
知其榮、守其辱、爲天下谷。
爲天下谷、常徳乃足、復歸於樸。
樸散、則爲器。聖人用之、則爲官長。故大制不割。
【書き下し文】
その雄を知りて、その雌を守れば、天下の谿(けい)と為(な)る。
天下の谿と為れば、常の徳は離れず、嬰児(えいじ)に復帰す。
その白を知りて、その黒を守れば、天下の式(のり)と為る。
天下の式と為れば、常の徳は忒(たが)わず、無極に復帰す。
その栄を知りて、その辱を守れば、天下の谷と為る。
天下の谷と為れば、常の徳は乃(すなわ)ち足りて、樸(ぼく)に復帰す。
樸散(さん)ずれば則(すなわ)ち器となる。聖人はこれを用いて、則ち官の長となす。故(ゆえ)に大制(たいせい)は割(さ)かず
【私的解釈】
男性的な力強さを持ちながらも、かつ、女性的な優しさを保てば、万物を生み出す懐深い峡谷となることができる。
万物を生み出す峡谷となれば、真の徳が常に備わり、赤ちゃんのような純粋な「おもゐ」が蘇る。
秩序の整った善を整えながらも、かつ、淀み沈んだ混沌とした悪を許容すれば、天下の規範となることができる。
天下の規範となれば、真の徳が離れることなく、善悪の対立しない「おもゐ」が蘇る。
栄華を満喫しながらも、かつ、不遇の屈辱を忘れることがなければ、万物が集まる谷川となることができる。
万物が集まる谷川となれば、真の徳がたちまち満ちあふれ、純朴な「おもゐ」が蘇る。
純朴な「おもゐ」が人間の器を練り上げる。聖人はこの器を備えた人を組織の長とする。こうすることで組織は永続するのだ。
【雑感】
巷には偉人の名言があふれている。ちょっとググればこれでもかというくらいの名言が羅列する。
私は、名言を消費しているのだろう。だから、読んだ時点で「良いこといっているな」という共感を抱き、しばらくしたら微塵も忘れ去ってしまう。この共感を抱く刹那の心地よさにひたりたくて、名言を貪る。これでは中毒者である。生きていく為には何かにすがり付かないといけないのであろうか。何かを求めるということは、何かから逃げ出したいということ。
結局、自分のおもゐ、自分が勝手に作り上げた妄想オバケに、追い立てられることが生きるということなのだ。
この現実を直視することでボワッとした妄想オバケが姿をあらわす。人を怖がらせることが出来なくなったオバケは消え去るのみ。おもゐを昇華させるということとはこういうことを言うのだろう。
いろんな妄想オバケを成仏させながら己が人生を今日も歩く。