【二宮翁夜話 巻之一 三】 天理人道の辯(弁)
【今日のこよみ】旧暦2014年 1月 2日友引 四緑木星
大寒 末候 鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)
【今日の気象】 天気 晴れ 気温 3.7℃ 湿度 52%
(大阪 8:00時点)
翁曰く、夫れ人道は譬へば、水車の如し。
其の形半分は水流に願ひ、半分は水流に逆ふて輪廻(かい)す。丸に水中に入れば廻らずして流るべし。又水を離るれば廻る事あるべからず。夫れ佛家に所謂知識の如く、世を離れ欲を捨てたるは、譬へば水車の水を離れたるが如し。又凡俗の教義も聞かず、義務もしらず、私欲一偏に著(ちゃく)するは、水車を丸に水に沈めたるが如し。供に社會(社会)の用をなさず。故に人道は中庸を尊む。水車の中庸は、宜しき程に水中に入りて、半分は水に順(したが)ひ、半分は流水に逆昇りて、運轉(転)滞らざるにあり。人の道もその如く。天理に順ひて種を蒔き、天理に逆ふて艸(草)を取り、欲に随(したが)ひて家業を勵(はげ)み、欲を制して義務を思ふべきなり。
【雑感】
話題のSTAP細胞のニュース
理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、動物の体細胞[1]の分化の記憶を消去し、万能細胞(多能性細胞[2])へと初期化[3]する原理を新たに発見し、それをもとに核移植や遺伝子導入などの従来の初期化法とは異なる「細胞外刺激による細胞ストレス」によって、短期間に効率よく万能細胞を試験管内で作成する方法を開発しました。
- 体細胞
- 動物個体の身体を構成する細胞で、生殖細胞でないもの。血液細胞や筋肉細胞などの特定の機能(個性)をもつ運命付けを受けている。着床前後の初期の受精胚には、体細胞とは違い、特定の細胞の種類への運命付けをされていない多能性細胞が存在し、それらは体細胞とは呼ばれない。
- 多能性細胞
- 身体を構成するすべての種類の細胞に分化する能力(多能性)を有する未分化な細胞。万能細胞とも呼ばれる。通常、外胚葉(神経細胞など)、中胚葉(筋肉細胞など)、内胚葉(腸管上皮など)の組織に分化できるかを検証して、多能性の有無を見る。より厳密な検証には、キメラ胚の形成能を確認する。
- 初期化
- 分化した体細胞の核には、その分化状態に応じた記憶が書き込まれている。それらは、核のDNAのメチル化などの化学修飾やDNAに結合するタンパク質の種類の変化などによって制御されることが知られ、エピゲノム修飾やエピゲノム・メモリーなどと表現される。そのため、体細胞から多能性細胞などの未分化細胞に分化を逆戻りさせることを、こうした核の記憶の初期化(コンピューターの記憶ディスクの初期化と似た意味で)と呼ぶ。
そもそも、人体はどれくらいの細胞で出来ているのだろうか?
100兆個ですか?100,000,000,000,000個の細胞が体内でうごめいているんですね。でも、数のイメージが湧かない。。。。
宇宙の星の数はどれくらいなのか?
私たちの太陽系が属する銀河系には、2000億個の星があると言われています。そして、宇宙には銀河が1000億個以上もあると考えられています。まさに天文学的な数の星があるといえるでしょう。
銀河系にある星の数以上の細胞が人間の体内に存在している。そして、この体内の数百兆個の細胞それぞれに命が宿っている。まるで、私達ひとりひとりが銀河みたいなものである。こうイメージすると人一人一人の存在は偉大すぎる。そして神秘的だ。
話を戻す。
この数百兆個の体内細胞を私の意志は制御することは出来ない。私が制御出来ない細胞を私から取り出して操作すると制御することが出来る。今回のSTAP細胞もこの操作によって生み出されたものだ。
なぜこの操作により制御できるのか、その仕組みは分からない。ただ、何回この操作を繰り返しても、同じ現象が現れるから制御できると推測できるということなのだ。
今回のSTAP細胞も、細胞を酸性の液に浸すと高い確率でSTAP細胞に変化することが分かった。今後、何故そうなるのかその仕組みを解明したい。ということみたいだ。
宇宙は絶妙のバランスで成り立っている。宇宙に絶妙のバランスが存在するおかげで私達は生きることが出来ている。人間の命も絶妙のバランスで成立しているに違いない。このSTAP細胞を私の意志が及ばない体内に戻した時に絶妙のバランスを維持することが出来るのだろうか?
地球では自然破壊が進んでいるにもかかわらず、相変わらず地球は私達に住みよい環境を維持してくれている。これを思えば、そう簡単に体内のバランスが崩れ去るということは起こらないと思われる。
では、細胞のみから人間を創り出せることになったら人間社会はどうなるのだろうか?
科学や技術は進歩を止まない。今後も進歩し続けるだろう。では、それを使う人の心も発達してきたであろうか?歴史を振り返って、先端の科学技術を集めた兵器はものすごい勢いで進歩してきたけれども、相変わらず戦争は無くならない。これが現実である。
科学や技術はそれ自身が意志を持たない道具である。この道具を何の為に利用するのかを決めるのは人のおもゐである。人のおもゐが画期的な発明を生み出し、その生まれた発明を前にして人のおもゐが試される。
見ることが出来ないおもゐのパワーに人間は翻弄されざるを得ない。だからこそ、自分のおもゐを見つめることが大切なんだと思う。
最後に、今回のSTAP細胞を生み出す過程で多くの動物の命が犠牲になったものと思われる。物事には必ず影の部分が存在し、その影の部分のお陰で私は今を生きることが出来るという事実から目をそらしてはいけない。と私自身に忠告しておく。
体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見 | 理化学研究所
Scientists make a new type of stem cell, using a little acid - NBC News.com
1月30日:酸浴による体細胞リプログラミング(1月30日Nature誌掲載論文) | AASJホームページ
なぜSTAP細胞は驚くべき発見なのか――STAP細胞が映し出すもの | SYNODOS -シノドス-