【老子道徳経 第六章 】 母なる宇宙
【今日のこよみ】 旧暦2013年10月10日先勝 五黄土星
壬午 日/癸亥 月/癸巳 年 月相 8
立冬 次候 地始凍(ちはじめてこおる)
谷神不死。
是謂玄牝。
玄牝之門、是謂天地根。
緜緜若存、用之不勤。
【書き下し文】
谷神(こくしん)は死せず。
これを玄牝(げんぴん)と謂(い)う。
玄牝の門、これを天地の根(こん)と謂う。
緜緜(めんめん)として存(そん)する若(ごと)く、これを用いて勤(つ)きず。
【私的解釈】
世の中の万物を産み出す峡谷の神は不老不死である。
この神秘的な神様は、女神だと私は思う。
この女神のミホトから世の中の源である「陽なるモノ」と「陰なるモノ」が産み出される。
こんこんと湧き出た「おもゐ」が淵に貯まり、峡谷の細々ではあるが力強い流れを下り、世の中に生まれ出る。この営みは未来永劫尽きることがない。
【雑感】
人の「おもゐ」は女神の母胎に育まれて、「陽なるモノ」と「陰なるモノ」となり、ワンセットで世の中に生まれ出る。この道のりと人の誕生とを照らして考えてみると興味が尽きない。
ある本によると、
『人の命は、お父さんのもつ精子とお母さんのもつ卵子がひとつになって生まれるんだ。お母さんのおなかの中の子宮という場所で、受精(精子と卵子が結びつく)して、受精卵という細ぼうになる。
受精卵は子宮の中で細ぼう分裂をくり返して、変化、成長し、内臓や骨を備えていく。そして受精から約280日後、赤ちゃんとして生まれてくるんだ。
お父さんの精子は、お母さんの卵子と結びつくまでに、とても大変な旅をしているんだ。卵子を目指す精子の数は、はじめは3~5億個もある。けれども、さまざまな難関を経て、最後まで生き残れるのは、たったひとつ。その精子が卵子と結びつくことができるんだよ。
ひとつの命が芽生え、生まれることは、ものすごい奇跡(きせき)なんだ。』
とある。
人は、上記のように3~5億個の精子の中の一つの精子が卵子と結びつき細胞となり、約280日間胎内で育まれて世の中に生まれ出る。
5億のうちからただ一つの精子を選抜させる不思議。そして、結びついて誕生した細胞がたった280日間で人類の進化の過程をたどり、人間となる不思議。
この世の中に生まれ出たこと自体有り難いほどの奇跡なのだ。しかし、この奇跡を当たり前のこととする人間社会の不思議。
人には良心が心に宿り、肉体には生命が宿る。良心は「おもゐ」となり次の世代に連綿と引き継がれ、肉体は遺伝子となり次の世代に連綿と引き継がれる。肉体の引き継ぎは目に見えるが「おもゐ」の引き継ぎは目に見えない。だから目に見えない方が軽視される。
ただ人間が勝手に判断しているだけで、もしかしたら「おもゐ」の引き継ぎが世の中に与える影響はすごく大きいのかも知れない。